今週の紙面

2025年(令和7年)12月4日(第5880号)

2025年(令和7年)12月1日(第5879号)

メリハリ効いたマネジメントを/道路陥没事故踏まえた対策検討委/国交省

メリハリ効いたマネジメントを/道路陥没事故踏まえた対策検討委/国交省

 国土交通省が八潮市で発生した道路陥没事故を受けて設置した「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」(委員長=家田仁・政策研究大学院大学特別教授)は、第3次提言「信頼されるインフラのためのマネジメントの戦略的転換」をとりまとめ、1日に家田委員長らが金子恭之・国交大臣に提言書を手渡した。家田委員長は提言において特に強調したい点として「メリハリ」について説明を行い、金子大臣は「インフラマネジメントへの戦略的転換が非常に重要であると改めて実感している。この提言をしっかりと受け止め、法令を含む諸制度の見直し検討を加速化するとともに、11月28日に閣議決定した補正予算を含め、国土強靱化実施中期計画に基づいて必要な予算をしっかりと確保していきたい」と応えた。

下水道管路メンテ技術の高度化へ/技術開発の方向性を議論/国交省

 国土交通省は11月20日、日本下水道新技術機構で「下水道管路メンテナンス技術の高度化・実用化推進会議」(委員長=加藤裕之・東京大学大学院特任准教授)の第2回を開催した。検討の方向性の整理や全国特別重点調査を踏まえて実施したアンケート調査をもとに「調査難所の克服」に係る技術開発の方向性などについて議論した。

水質応援プログラム始動へ/水質TEC・水質アドバイザリーを創設/日水協

 日本水道協会は、水道事業体等が抱える水質に関する課題の解決に向けた支援を強化する。従来の「水道GLP」認定事業に加え新たに、現場の水質検査技術に特化した「水質検査診断事業(略称:水質TEC)」と、水質に関する助言等を行う「水質アドバイザリー」を創設。これらを〝水質応援プログラム〟として、水道事業体等の水質管理の向上につなげていく考えだ。特に水質TECは、有効期間を5年間とした、告示法による水質検査や精度管理、機器校正等の診断で、費用は水道GLPの約5分の1程度だという。水質TEC、水質アドバイザリーとも来年1月から相談・受け付けを開始する。

年末を目途に中間整理/合理的な診断へ基準など議論/国交省

 国土交通省は1日、第4回下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会(委員長=森田弘昭・日本大学生産工学部教授)を日本下水道協会で開き、下水道管路マネジメントのための技術基準等に関するこれまでの検討の整理などについて議論した。検討会は点検や再構築に関する具体的な基準等を専門的見地から検討するため設置されたもので、下水道管路マネジメントの重要な基準等については国の技術基準に引き上げる。今後は、12月中に第5回を開き、年末を目途に中間整理をまとめる予定。

水道料金の時間帯別料金を実証/3回目の実験を実施へ/湖西市

 静岡県湖西市は、水道の使用が集中する時間帯を分散させることを目的に、2022年度から水道スマートメーターを活用した時間帯別料金の実証実験を行っている。これまでの実験結果を踏まえ、時間帯区分や料金インセンティブの内容を見直し、より一層のピークシフトの実現を目指す第3回実証実験を、12月16日から来年2月15日まで行う。

境浄水場再構築など推進/来年度主要事業計画を公表/東京都水道局

 東京都水道局は、2026年度主要事業計画を公表した。給水収益は3220億5200万円で、コロナ禍による収入減からは回復基調を継続しており、前年度より5億4400万円の増収を見込んでいる。資本的支出は対前年度比142億5400万円増の1816億1600万円、このうち建設改良費は同37億4500万円増の1595億9300万円を計上している。継続的な労務単価の上昇や資材価格の高騰など厳しい事業環境にあるが、企業債や積立金の活用などにより必要な事業費を確保し、新たな経営プランの初年度として、大規模浄水場の整備、送配水管の耐震強化やネットワークの強化などを着実に推進し、強靭で持続可能な水道システムを構築していく。

建設改良事業費を大幅増額/来年度主要事業計画概要を公表/東京都下水道局

 東京都下水道局の2026年度主要事業計画の概要が公表された。物価高騰を反映しつつ、 老朽化対策や浸水・震災対策など主要施策の推進に向け、区部の建設改良事業費は、前年度比で555億円の大幅な増額となる2920億円を計上。今後の事業運営の指針となる次期経営計画の初年度として、下水道事業を取り巻く課題を踏まえ、「レジリエンス(強靭性)」と「サステナビリティ(持続可能性)」の観点から事業を推進する方針とした。

 埼玉県八潮市で起きた下水道管路の破損に起因する道路陥没事故により、インフラ老朽化に関心が高まる中、維持管理に万全を期すとともに、老朽化対策の集中的な推進や、浸水対策・震災対策などの強靭化施策、脱炭素に向けた施策など、主要施策を着実に推進する。事業の実施にあたっては、新たな技術開発に取り組むほか、コストの縮減や資産の有効活用等の不断の経営効率化に努めるなど、持続可能な経営基盤の実現に取り組む。

下水道経営委で決算など審議/特別重点調査の結果報告も/千葉市建設局

下水道経営委で決算など審議/特別重点調査の結果報告も/千葉市建設局

 千葉市建設局は11月11日、今年度第3回の千葉市下水道事業経営委員会(委員長=森田弘昭・日本大学教授)を開催し、2024年度千葉市下水道事業会計決算、2024年度千葉市農業集落排水事業会計決算、千葉市農業集落排水事業中期経営計画の見直しについて審議した。また、下水道管路の全国特別重点調査(優先実施箇所)の結果について報告がなされた。

知識・技能のレベルアップへ/下水道関係実務研修会開く/北海道地方下水協

知識・技能のレベルアップへ/下水道関係実務研修会開く/北海道地方下水協

 北海道地方下水道協会は11月27日、札幌市内で下水道関係実務研修会を開いた。広く下水道事業に係る情報提供の機会を設けるとともに、会員の相互交流を通して情報共有を図り、知識・技能のレベルアップに資することを目的としている。国土交通省北海道開発局と北海道建設部の情報提供、札幌市下水道河川局の事例報告、日本SPR工法協会北海道支部の講演を行ったほか、準会員など16団体がパネル展示などにより技術やサービスなどを紹介する技術・情報コーナーを設けた。正会員や準会員から約200人が参加した。

 冒頭、小林秀晃・札幌市下水道河川局長が「今後も下水道施設の機能を維持し、住民の安全・安心を確保していくためには、官民を問わず最新の知見や技術を学び、共有することが重要となる。本日の研修会が実り多いものとなれば」とあいさつした。

技術継承、災害復旧活動支援へ/県環境部、県下水道公社と協定/長野県下水道サポート協会

 長野県下水道サポート協会は、長野県環境部、長野県下水道公社と、同協会の会員が下水道事業に係る技術継承や下水道施設の災害復旧活動を行う際の現役職員への助言などの支援を行うことを内容とする協定を締結した。同協会は、下水道事業に携わる職員の技術継承や災害時における協力体制の構築を目的として、下水道事業を担当した県、市町村、長野県下水道公社、日本下水道事業団長野事務所などの元職員有志により今年10月に設立されたボランティア団体で、現在の会員数は22人となっている。

「いい井戸の日」イベントを金沢で/能登半島地震からの復旧・復興テーマに/全さく協

「いい井戸の日」イベントを金沢で/能登半島地震からの復旧・復興テーマに/全さく協

 全国さく井協会(会長=石塚学・アクアジオテクノ社長)は11月10日、金沢市内で臨時社員総会と、「いい井戸の日in北陸」を開いた。

 臨時社員総会の議題は、2025年度前期(4~9月)の会務・事業の実施状況報告など。石塚会長は、「社会や経済が大きく変化する中、私たちの業界も、地球環境の変化への対応をはじめ、防災や地下水資源の適正利用、安全な施工の徹底、人材確保や技術継承など、さまざまな課題に直面している。協会として、こうした課題にしっかり対応していくため、関係機関や団体との連携をさらに深め、会員の皆様が安心して事業に取り組むことのできる環境づくりを進めていく」とした。

メタン抑制など13件/研究助成対象を決定/フソウ技術開発振興基金

 一般財団法人フソウ技術開発振興基金は、2025年度研究助成対象として13件を決定した。同基金は2016年の設立以来、今年で11回目の選考を迎え、大学をはじめとする研究機関等から多数応募されている。応募案件は、選考委員による厳正な審査を経て助成対象を決定している。

強靱・持続へ国の財政支援を/国会議員、各省に水道の窮状訴え/運営会議/日水協

 日本水道協会は11月26日、今年度第3回の運営会議を開催した。10月に広島市で開催した全国会議第107回総会で決議した会員提出問題と、来年度の水道関係予算確保を旨とする要望書を取りまとめ、会議後には関係各省、国会議員に陳情した。なお、会議では、来年長崎市での全国会議の開催日程・開催場所について、10月21日から3日間、出島メッセ長崎(オープニングセレモニー、開会式、表彰式、第109回総会、水道研究発表会の一部、シンポジウム)とヒルトン長崎(水道研究発表会)での開催とすることが了承された。

リダンダンシー確保へ新事業/上下水道管路更新の支援拡充/補正予算案/国交省

 2025年度補正予算案が11月28日、閣議決定された。国土交通省の補正予算案のうち、上下水道関係は▽上下水道(上下水道一体効率化・基盤強化推進事業費補助)6億5600万円▽水道(水道施設整備費補助)19億6000万円▽下水道(下水道事業費補助、下水道防災事業費補助)190億5300万円―の216億6900万円と、防災・安全交付金等4074億9100万円の内数を計上している。国交省全体の公共関係事業費が補正予算としては初めて2兆円を超え、防災・減災、国土強靱化対策などを強力に推し進めることとなる。上下水道審議官グループでも「各施策を推進していくための予算を確保できた」としている。

「リダンダンシー確保を」/財務省へ申し入れ/水道議連、下水道議連

「リダンダンシー確保を」/財務省へ申し入れ/水道議連、下水道議連

 自民党水道事業促進議員連盟、下水道事業促進議員連盟は11月28日、両議連が合同でとりまとめた「水道事業・下水道事業の強力な推進に関する決議」を、財務省の宇波弘貴・主計局長、中山光輝・主計局次長に申し入れた。両議連の会長を務める田村憲久・衆議院議員をはじめ、井林辰憲・衆議院議員、川崎ひでと・衆議院議員、冨樫博之・衆議院議員、長坂康正・衆議院議員、深澤陽一・衆議院議員が訪れた。

12年間のビジョン案を策定/4年間の中期計画素案も/川崎市上下水道局

 川崎市上下水道局は、「川崎市上下水道ビジョン(2026~2037)(案)」と「川崎市上下水道事業中期計画(2026~2029)(素案)」を策定した。事業の方向性を示すビジョンと、その実現に向けた実施計画である中期計画の現行計画が計画期間の満了を迎えることから、取り巻く環境の急速な変化を踏まえ、新たなビジョン・中期計画の今年度中の策定に向けて案と素案を取りまとめた。