内水浸水対策の加速化へ/下水道法改正踏まえ内容精査/ガイドライン類改訂検討委員会/国交省

 国土交通省下水道部は4日、第4回下水道による内水浸水対策に関するガイドライン類改訂検討委員会(委員長=古米弘明・東京大学大学院教授)をウェブ会議により開催した。今年5月に改正された下水道法の中で6カ月以内に施行するとされている「計画降雨の事業計画への位置付け」「民間による雨水貯留浸透施設整備に係る計画認定制度の創設」に関係する内容を3つのガイドライン類に反映させるために議論した。

基盤強化へ新技術の活用を/「Aqua―LIST」第1弾を公表/JWRC

 水道技術研究センター(JWRC)は1日、「水道施設の点検を含む維持・修繕に関する新技術事例集(Aqua―LIST)」の第1弾をホームページで公表した。同事例集は、事業体での新技術の活用促進に向け、新技術を用いた具体的な点検方法や活用事例を取りまとめたもの。

 今回掲載された新技術は、1.水道施設情報管理システム:クラウドシステム「SkyScraper®」(NJS) 2.効率的な保守・保全活動を実現する設備台帳システムを有する設備保全システム(日立製作所) 3.FICSクラウド監視制御システム(フソウ) 4.管路漏水監視システム リークネッツ(フジテコム) 5.現場点検業務のスマート化およびミクロマネジメントへの情報活用技術(メタウォーター) 6.ウルトラパッチによる水管橋など配管の延命化(阿南電気)―。

 掲載された新技術の特長として、1.は統合型のクラウドサービス・IoTプラットフォームとして、工事・設備・点検の情報を統合管理可能な点を、 2.は設備台帳を基準としたデジタル化やAR技術を活用した業務支援ナビ、モバイル端末の活用などを挙げた。 3.はクラウド技術を採用したことから、定額のシステム利用料の負担のみで常に進化したサービスを享受でき、ライフサイクルコスト抑制に高い効果が期待できるという。

「新技術Ⅰ類」に2技術/脱炭素社会へ汚泥処理を最適化/JS

 日本下水道事業団(JS)は、新技術Ⅰ類として、「回転加圧脱水機Ⅳ型」と「汚泥性状変動対応型蒸気乾燥システム」を選定した。低含水率汚泥の効率的な脱水や、汚泥由来の乾燥製品の安定的な製造が可能になる技術。汚泥処理を最適化し、脱炭素社会の実現に貢献する。

 回転加圧脱水機Ⅳ型は、JSと巴工業が共同で開発した。凝集・濃縮・脱水工程を一体的に行うことにより、未濃縮汚泥や低濃度の混合生汚泥を低薬注率、低動力で効率的に濃縮脱水する。低濃度汚泥の脱水に苦慮する処理場や、造粒調質設備を使用している処理場の更新にあわせて採用することで脱水性能が向上し、エネルギー効率が高まる。

漏水発生も断水なし/東京・埼玉で震度5強の地震

 東京都足立区や埼玉県川口市などで最大震度5強を観測した7日夜の千葉県北西部を震源とする地震では、断水に至る水道施設の被害は無かったが、漏水が各所で発生し、修繕など関係者は対応に追われた。

 千葉県企業局では、市原市内の養老川に架かる水管橋(φ800、昭和55年度布設)から漏水。職員がテレメーターで水圧異常を確認したため発覚した。福増浄水場からの送水管で、止水後の給水区域への供給は他系統からの送水で対応し、断水を回避した。8日午前4時に職員と管工事業者で止水作業を行った。現在、修繕へ向けた方法を検討中。

φ700管仮設完了し断水解消/アーチとの吊り材に破断確認/和歌山市の水管橋破損

φ700管仮設完了し断水解消/アーチとの吊り材に破断確認/和歌山市の水管橋破損

 和歌山市の六十谷水管橋(φ900鋼管×2条)が一部破損し、同市の約4割にあたる約6万世帯(約13万8000人)が3日から断水していたが、仮設配管工事が完了し、8日夜から送水を開始した。仮設配管はφ700NS形ダクタイル鉄管1条(総延長約600m)を、全面通行止めにした六十谷橋の車道上に6日から3日間で設置。仮設配管は水管橋に比べてダウンサイジングとなるが、必要送水量(平均4万8000立方m/日)は確保できるとしている。なお、水管橋の送水管とアーチをつなぐ吊り材で腐食が進み、18本中4本の破断が確認されたことなどから、同市はこれらが影響し、送水管の一部破損につながった可能性が高いとしている。

日本の水道耐震化に貢献/世界地震工学会議が仙台市で/ゴールドスポンサーとして出展/ポリテック

日本の水道耐震化に貢献/世界地震工学会議が仙台市で/ゴールドスポンサーとして出展/ポリテック

 配水用ポリエチレンパイプシステム協会(ポリテック)は、9月26日~10月2日まで7日間にわたり仙台市で開催された「第17回世界地震工学会議」のゴールドスポンサーとして協賛し、会場の仙台国際センターにブースを出展した。

 1956年から4年に1度世界各地で開催されている地震工学分野で最大規模の国際会議。東日本大震災から10年を経た今年、1988年以来33年ぶりとなる日本での開催を仙台市で迎えたことは、復旧・復興を全世界に大きくアピールする機会としても大きな意義がある。

 ポリテックの白澤洋・事務局長は、「当協会は1996年、前年の阪神・淡路大震災での水道管路被害を教訓に、地震多発国である日本に耐震性管路を提案することを目的として発足しており、この会議に参加することは非常に意義のあることと認識している。これからも皆さまのご指導を頂きながら、日本の水道の耐震化に少しでも貢献できるよう、活動していきたい」と話した。

災害対応力強化へ研修会/大都市水道局講師派遣制度を活用/日水協山形県支部

 日本水道協会山形県支部は1日、令和3年度研修会(技術系)をリモートで開催し、43人が受講した。大都市水道局大規模災害対策検討会が試行実施している「大都市水道局研修講師派遣制度」を活用した災害対応を中心とする講義内容とし、保永政幸・東京都水道局東部建設事務所庶務課長が受援体制と応急給水をテーマに講義を行ったほか、山形市上下水道部が民間企業との連携強化や拠点給水所の拡充などの災害時の応急給水体制強化に向けた取り組みなどを発表した。