工水事業にPPP/PFI/導入促進へ「手引書」を公表/経産省

 経済産業省地域産業基盤整備課は「工業用水道事業におけるPPP/PFI導入の手引書」を作成し8月31日、同省ホームページで公表した。今年4月に工業用水道として初めて熊本県で開始されたコンセッション事業など、最新の知見を反映。事例集を充実させたり、作業プロセスを見える化するチェックリストを付録するなど〝使い勝手〟にも配慮した。施設の老朽化の進行や需要減少をはじめ多くの課題を抱える工業用水道事業にとって、民間活用は課題解決への選択肢の一つ。PPP/PFIの導入に向け同課では、手引書の活用を工業用水道事業者に呼びかけていく。

下水道普及率は80・1%/5万人未満市町村で遅れも/令和2年度末/汚水処理関係3省

 令和2年度末における全国汚水処理人口普及率が昨年度調査より0・4ポイント増の92・1%となった。

 8月31日、国土交通省、農林水産省、環境省が、各々所管する下水道、農業集落排水施設等、浄化槽等の汚水処理施設の処理人口を調査した結果を取りまとめ公表した。

 それによると、汚水処理施設の処理人口は1億1637万人となった一方で、約990万人が汚水処理施設を利用できていないことがわかった。特に人口5万人未満の市町村の汚水処理人口普及率は、前回調査から0・8ポイント増の81・9%となったものの、全国平均からは遅れている。

施設統廃合や広域連携/10年振り返り今後を探る/東日本大震災水道復興シンポジウム/厚労省

 厚生労働省水道課は「東日本大震災水道復興シンポジウム」をオンラインで開催した。震災発生から10年の節目にこれまでの復興状況を振り返り、今後の水道事業のあり方を考えるために企画したもので、岩手県(8月26日)、宮城県(27日)、福島県(31日)ごとに行った。熊谷和哉・水道課長、前盛岡市上下水道事業管理者の平野耕一郎・日本ダクタイル鉄管協会顧問と各県内被災事業体からの講演、県水道行政を加えたメンバーによるパネルディスカッションで各開催とも構成された。

 熊谷課長は「10年間の状況を皆さまと共有したい。今後全国的に対応していかなければならない人口減少問題や、街の再編、施設の統廃合、耐震化のある意味で先進地区。被災地の特殊事情でなく、ここで起こっていることが皆さまの地域でどう共通するかの観点で聞いて頂ければ」と、カメラ越しの聴講者に呼びかけた。シンポジウムの模様は後日、アーカイブ配信される。

来年3月に広域化の方向性を/事業統合ベースに検討/第2回上田長野地域水道事業広域化研究会/長野県、長野市、上田市、千曲市、坂城町

来年3月に広域化の方向性を/事業統合ベースに検討/第2回上田長野地域水道事業広域化研究会/長野県、長野市、上田市、千曲市、坂城町

 長野県、長野市、上田市、千曲市、坂城町が安全で安心な水道水を安定して供給できる持続可能な経営体制の構築に向け、水道事業の広域化等を研究する上田長野地域水道事業広域化研究会(座長=小林透・長野県公営企業管理者)の第2回研究会が、8月27日にウェブ会議形式で開催された。構成団体の水道関係部局のトップが構成員を務める研究会では、来年3月までに広域化の方向性の報告(案)を取りまとめることを目指しており、今回は広域化等に向けた論点整理を行い、事業統合をベースに検討を進めていくことを確認するとともに、住民などへの広報について議論した。

下水道の課題解決へ情報共有/異業種技術の下水道への活用を/下水道スタートアップチャレンジ/「脱炭素社会実現」テーマに/下水道展’21大阪併催企画/国交省

下水道の課題解決へ情報共有/異業種技術の下水道への活用を/下水道スタートアップチャレンジ/「脱炭素社会実現」テーマに/下水道展’21大阪併催企画/国交省

 国土交通省下水道部は8月18日、「下水道スタートアップチャレンジ」を下水道展に併せて、ストリーミング動画配信形式で行った。このイベントは、異業種で活躍し、下水道市場に興味のある企業(スタートアップ企業)、下水道事業者である地方公共団体、下水道関連企業とのマッチングの場を提供し、異業種企業が保有する技術の下水道での早期活用・促進などを期待するもの。一昨年から実施しており、今回で5回目となる。今回のテーマは「脱炭素社会実現に向けた下水道資源の活用」で、下水道事業に従事している人から下水道に接点のない人まで300人を超える参加があった。

 冒頭あいさつした同部下水道企画課下水道国際・技術室の西郷進也・課長補佐は「今後カーボンニュートラルという大きな目標を達成するために、下水道においても省エネ、創エネで下水道資源を利用するという両面から様々な対策を考えていくことが重要。下水道に特化した従来型の技術開発だけでなく、異分野で活用されている優れた技術についても下水道に取り込んでいくことが非常に重要」と述べた。

 第1部では、ICTインフラトータルサービス企業であるユニアデックスから「IT業から下水道界を見て、感じたこと」、大阪市建設局から「下水道事業の概要と下水道資源の活用事例とポテンシャル」についての講演があった。

今後のプロジェクト案を提案/AWaPの総会・セミナー開く/国交省、環境省

 国土交通省と環境省は8月18日、アジア汚水管理パートナーシップ(AWaP)の第2回総会と技術セミナーをオンライン形式で開催した。ミャンマーを除くカンボジア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、日本の関係者が参加した。下水道展会場での開催を企画していたが、オンライン形式に切り替えた。

 AWaPでは、SDGsの目標である未処理汚水の割合の半減に向けて、アジア地域の汚水処理を促進させるための取り組みを行っている。総会では、アジア諸国における汚水管理の共通課題を整理して共有するとともに、課題解決に向けた今後の活動計画などについて議論した。AWaP参加国の共通課題としては、資金不足を要因として、水処理施設が不足している状況にあるため、汚水処理施設を効率的に整備する方策が必要であることが確認された。

 総会の議長を務めた藤原拓・京都大学教授は議事を総括し、今後のプロジェクトの柱として▽下水道と浄化槽のパッケージによる整備▽非開削による管路の布設整備▽国交省が進める下水道技術海外実証事業WOW TO JAPANプロジェクトのような現地の条件に適合した下水道技術の開発―の推進を提案した。

CO2排出量を70%削減/次世代コンクリート「EeTAFCON」を開発/下水道での高い耐久性確認/中川ヒューム管工業ら

 中川ヒューム管工業は、電力中央研究所および石炭フロンティア機構と共同で、従来のコンクリートに比べ製造時のCO2排出量を約70%削減できる次世代コンクリート「EeTAFCON」(イータフコン)を開発し、プレキャスト製品としての量産化技術を確立した。セメントではなく産業副産物を原料として使用しており、低炭素化社会や循環型社会の形成など、SDGsの達成への貢献が期待される。性能面では、硫酸による劣化がある下水道で使用した場合に従来のセメントコンクリートより高い耐久性を示したほか、鉄筋コンクリート部材として活用できることも確認した。

 コンクリートの主原料であるセメントは、その製造過程において多量のCO2を排出することから、環境面を考慮したCO2排出量が少ないコンクリートの開発が課題となっていた。「EeTAFCON」は、シリカやアルミニウムを主成分とする粉体とアルカリ水溶液を混練するアルカリ活性化材料の製造技術を応用したコンクリートで、フライアッシュや高炉スラグ微粉末などの産業副産物をアルカリ水溶液と練り混ぜ、蒸気養生によって製造する。