事業費確保や制度の改善・拡充を/大都市下水道会議が局長要望

 東京都と政令市で構成する大都市下水道会議の令和3年度局長要望活動が5月18日に開かれ、下水道事業における財源の確保や地震対策、老朽化対策などの国土強靱化のための制度改正や拡充などの要望を行った。コロナ禍の影響で今年の会議はオンラインで実施し、例年会議後に参加者全員で実施している国や国会議員への要望活動は、当番市の札幌市(東京事務所)が代表して要望書を届ける形となった。会議では、大都市が抱える諸問題について情報共有を図るとともに、国土交通省の松原誠・下水道部下水道事業課長が「下水道行政の最近の動向について」、総務省の水野敦志・準公営企業室長が「下水道経営の現状と課題」と題して講演した。

上下水道の広域化など提示/骨太方針の骨子案を審議/経済財政諮問会議

 経済財政諮問会議(議長=菅義偉・内閣総理大臣)が5月25日に開催され、〝骨太方針〟の骨子案が審議された。グリーン社会の実現やDXの推進、上下水道の広域化・共同化、PPP/PFIの導入などに取り組むことが提示された。

 社会資本整備の効果的推進については、社会資本整備重点計画の改定にあたりデータ活用によるICT施工の普及促進や工期の平準化、見える化・横展開、予防保全型のメンテナンスへの早期転換、デジタル先端技術の標準化、民間資金の利活用等を強化することとした。また、来年度までに策定予定の上下水道における広域化に関するプランや、個別施設計画の進捗管理、上下水道の老朽化対策におけるPPP/PFI導入の優先的検討の実施が示された。

 財政健全化に向け取り組むべき事項として、水道事業は、小規模事業者が多数存在しており、経営基盤が脆弱化しているため広域化を目指すべき、下水道事業は既存事業の単なる延命という視点を捨て、広域化・共同化を着実に進め、受益と負担の関係を明確化していくことが重要とされた。

施設の最適配置を検討/広域連携を推進/更新需要把握も/報告書をホームページに/厚労省

 厚生労働省水道課は「水道基盤強化計画策定に向けた水道施設の最適配置計画の検討」の報告書を取りまとめ、5月28日に同省ホームページに掲載した。長野県内の4水道事業体をモデルに、水道施設の最適配置を検討した。検討を通じ広域連携に向けた技術的な支援を行うとともに、国として今後の水道計画や更新需要の精緻化・把握につなげる狙いもあった。同課では、「検討の成果が具体的な広域連携につながっていけば」としている。

 検討では、長野県企業局の給水区域に近接する4水道事業(企業局、長野市、千曲市、上田市)を対象とした。▽高低差を利用した浄水場の配置と運用▽稼働率の改善▽経年化が進む浄水場の統廃合―の連係方針のもと、施設の最適配置案を提示。現状の施設を維持した場合と比較して、将来50年間の整備事業費は約22%、維持管理費は約3%の削減効果があると試算した。維持管理の共同化や遠方監視体制の共同化などにより、さらなる施設管理の効率化、管理水準の向上が期待できることなども示した。また、将来余剰する施設能力を活用した、対象事業体以外の事業体との連携の可能性にも言及している。 (2面に関連記事)

施設台帳整備へ統一フォーマット/情報共有、相互連携へ/4事業者の最適配置検討報告も/長野県 水道事業広域連携推進協議会を開催

 長野県環境部・企画振興部・企業局は5月28日、第2回長野県水道事業広域連携推進協議会(座長=小林透・長野県公営企業管理者)を長野県庁などでテレビ会議を活用して開催した。改正水道法で義務付けられた水道施設台帳の整備を「長野モデル」として県内統一フォーマットでデータ化して整備することにより、情報共有・相互連携を図ることを目指して調査・研究を進めており、県内の水道事業者ら140人が出席した今回の協議会で長野モデルのフォーマットを決定した。また、厚生労働省が長野県企業局の給水区域に近傍する4水道事業者を対象に実施した「水道基盤強化計画策定に向けた水道施設の最適配置計画の検討」の結果の報告、熊谷和哉・厚労省水道課長による講演などを行った。

中期経営計画2021を策定/4つの事業部門別に戦略示す/東京水道

 東京水道は、令和3(2021)年度から7年度までの5年間に取り組む施策や経営目標を示した「中期経営計画2021」を策定した。今後、東京都水道局からの業務移転が本格化するなど、同社の役割が増していくことが見込まれる中、企業としての持続可能性を高めるため、構造改革、成長、基盤強化に取り組むとし、4つの事業部門別の戦略を示した。財務目標としては、令和7年度で売上総利益36億3900万円、営業利益6億2100万円を目指すとしている。同社が中期経営計画を策定するのは初めて。

 計画では、同社を取り巻く経営環境を踏まえ、1.水道業務におけるトータルサービスの提供 2.DX推進や環境施策による事業経営力の強化と魅力向上 3.基本セグメントの全てにおける利益の確保―を今後の方向として掲げた。