マニュアル改訂 使いやすく/工務常設委で審議し了承/日水協

 日本水道協会は3月25日、第196回工務常設調査委員会を開催した。JWWA規格改正案と「水道用鉄蓋類維持管理マニュアル」改訂案、「水道施設管理業務評価マニュアル案」改訂案について審議し、規格で一部表現の修正があるほかはおおむね了承した。特に2つのマニュアルは、実態に即した内容に改め、構成を見直したり事例を充実させたり…と、実務者がより〝使いやすい〟ものをめざし改訂される。水道技術者が日々の実務で抱える課題の解消に、これらマニュアルが一役買う。

水道料金減免639億円に/コロナ影響を調査/2月15日時点/厚労省

 新型コロナウイルス感染症の影響による水道料金の減免額が、約639億円に上ることが分かった。厚生労働省水道課が2月に、全国の水道事業者に新型コロナウイルス感染症の影響についてアンケート調査を実施し、1280事業者から得た回答を取りまとめたもの。

 それによると、2月15日時点で、支払い猶予の実施は、▽実施中=935事業者(73・0%)▽今後実施予定=5事業者(0・4%)▽検討中=21事業者(1・6%)▽実施予定なし=155事業者(12・1%)▽実施済み=164事業者(12・8%)―だった。猶予金額は家事用8億1337万1992円、家事用以外22億3253万2309円の計30億4590万4301円だった。

最適な水道システムの実現へ/ビジョンと実施計画を公表/神奈川県内(企)

 神奈川県内広域水道企業団は3月23日、「かながわ広域水道ビジョン」と「実施計画」を公表した。ビジョンは、概ね30年後における企業団の将来像とその実現に向けた取り組みの方向性を定めたもので、企業団と構成団体全体における最適な水道システムの実現へ、水道施設の再構築に向けた企業団浄水場の増強や管路の整備などを推進していくことを掲げている。実施計画は、ビジョンで示した取り組みの方向性に沿った令和3年度から7年度までの具体的な事業内容を定めている。

湖西市と水質管理で広域連携/水質分析により地表漏水を判別/低コストかつ迅速な対応へ/静岡県企業局

 静岡県企業局西部事務所は3月24日、湖西市と「緊急時の漏水調査に関する協定」を締結、水質管理分野での広域連携に取り組んでいく。西部事務所水質管理センターが研究開発した、水質分析により地表漏水を判別する技術を、湖西市でも実施することを定めたもので、両者が連携して低コストかつ迅速な対応を目指す。

 この技術は、漏水の疑いのある箇所で試掘調査を行う前に、イオンクロマトグラフを用いて塩素酸などを分析し、その結果から水道管からの漏水か地下水か漏水種別を判定するもの。具体的には、試料を分析して塩素酸のピークが検出された場合は水道水、塩素酸のピークがない場合は土壌からの溶出・土壌への吸着が少ない塩化物イオンと硫酸イオンの濃度を工業用水と比較し、一致すれば工業用水、一致しなければ地下水であると判別する。

PPP導入を積極支援、DXを加速化/中期経営計画が最終年度/令和3年度事業計画/JS

 日本下水道事業団(JS)は、令和3年度の事業計画を明らかにした。最終年度となる第5次中期経営計画(2017~2021年度)の総仕上げとして、引き続き地方公共団体の総合的支援に取り組む。次年度は、次期中期経営計画策定に向けた体制づくりと、PPP(官民連携)や広域化・共同化の推進、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の加速化を経営の柱とし、組織面においても、ソリューション推進部の技術援助課を「PPP・広域化推進課」に、経営企画部の広報室を「企画室」にそれぞれ再編し、法務担当とPPP担当の各審議役、中期計画とDX担当の各調査役を設ける。

新技術Ⅰ類に2技術を選定/汚泥炭化炉、MBRを省エネ化/JS

 日本下水道事業団は、「新技術導入制度」における新技術Ⅰ類として、「電熱スクリュ式炭化炉を用いた汚泥燃料化技術」と「細径PVDF中空糸膜を用いた省エネルギー型MBRシステム」を選定した。

 「電熱スクリュ式炭化炉―」は、JSと神鋼環境ソリューションが共同で開発した。脱水汚泥を乾燥後、還元状態で電気を熱源として加熱し、汚泥燃料を製造するシステム。電熱スクリュを活用したコンパクトな炭化炉、シンプルなフローで放熱量を低減し、安定した発熱量の燃料製造が可能。従来技術の外熱キルン式炭化炉と比べ、大幅な省エネ性を実現した。

 電気熱源のコンパクトな炉を採用し、炭化用熱風発生炉なども不要。炭化物温度を炉内で直接測定するため、温度調節が容易で応答性に優れ、汚泥性状が変動しても、スクリュでの搬送により、炭化時間を一定に保つことができる。また、発熱体のスクリュが汚泥に直接接触するので加熱のムラもない。

 「細径PVDF中空糸膜―」は、JSと三菱ケミカルアクア・ソリューションズ、水ingエンジニアリング、三菱化工機の共同開発。

小規模簡易DBの実施状況報告/事業量増に向けた課題を整理/管路更新を促進する工事イノベーション研究会/ダク協

小規模簡易DBの実施状況報告/事業量増に向けた課題を整理/管路更新を促進する工事イノベーション研究会/ダク協

 日本ダクタイル鉄管協会は3月16日、管路更新を促進する工事イノベーション研究会(第2期)(座長=滝沢智・東京大学大学院教授)の第3回研究会を、日本水道会館でウェブ会議を併用して開いた。研究会に委員として参加している水道事業体での「小規模簡易DB方式」のモデル事業の実施状況が報告されたのをはじめ、管路更新の促進(事業量増)への課題について検討したワーキンググループの経過報告、小規模簡易DB方式の実施に必要な設計図および概算数量設計などの検討状況報告が行われた。また、研究会の令和2年度経過報告書案や令和3年度の研究会活動計画について意見を交換した。

 水道事業体の委員はすべてウェブ会議での出席となった。今回から広島県企業局が委員として参加している。開会にあたりあいさつした滝沢座長は「これまでの検討状況などの報告を楽しみにしている」と述べた。

浸水検知情報杭を販売/インフラ分野のDXに有効/リプロ

浸水検知情報杭を販売/インフラ分野のDXに有効/リプロ

 再生プラスチック境界杭の製造・販売を手がけるリプロ(岡山市、岡田謙吾社長)の小型水検知システム「水ピィ杭」が注目を集めている。

 本体内蔵の電極に水が接触すると通電し、信号を発信する。発信された信号はすぐさまクラウドアプリが受信し、地図アプリに登録された杭の浸水状況がひと目で把握できる仕組みで、迅速なBCP対策を可能にした。集中豪雨による内水氾濫やバックウォーター減少、ため池監視、高潮監視に利用可能だ。

 通信はLPWAのSigfoxを採用し通信コストを大幅削減。リチウム電池を使用し、電池交換は2年間不要。1日1回定期データを送信する。動作は常に監視下におかれ、検知ミスを防止する。

 杭に内蔵可能なセンサ部は防水性で、取り外して使用できる。センサ部のサイズは直径5cm、長さ22cmでプラスチック製。電極部分は通信部本体から60cm程度コードを延長でき、設置場所に応じて柔軟に対応できるため、側溝や水路、そのほか浸水被害が懸念される箇所に設置可能だ。

 販売価格は、杭タイプ5万5000円、接着剤使用の貼り付けタイプ5万円、サーバー利用料、通信料、メンテナンス費用が1本・月額1000円、レンタルにも対応している。