上下水道 防災・減災、強靱化さらに/国民生活支える基盤施設/令和3年度政府予算案

 令和3年度の政府予算案が21日に閣議決定され、上下水道関係の内容も明らかになった。先に決定されていた2年度第3次補正予算案を合わせた〝15カ月予算〟。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を踏まえ、特に防災・減災対策に重きが置かれた予算編成となった。水道では交付対象となる管路が拡充され、下水道も浸水対策の重点化が図られる。国民生活を支える上下水道の持続に向けた取り組みがさらに加速する。

浸水対策の重点化図る/拠点病院管渠を耐震化/国交省

 国土交通省下水道部が明らかにした令和3年度下水道事業予算は、個別補助として、大規模な雨水処理施設の計画的な整備や適切な機能確保、河川事業と一体的に実施する事業を支援する「下水道防災事業費補助」に384億4800万円(対前年度比1・57倍)、下水道資源の利用等を推進するため民間事業者への直接支援等を行う事業や日本下水道事業団による代行事業の「下水道事業費補助」に14億6500万円(1・0倍)、国が自ら行うB―DASHなどの技術実証事業等の「下水道事業調査費」に37億4600万円(1・0倍)を計上している。特に雨水対策に重点化が図られている。社会資本総合整備は1兆4851億1200万円(0・98倍)で、下水道にかかる費用はこの内数となる。

来年4月に水道料金統一/基準料金の秩父市料金体系に/秩父広域市町村圏組合水道局

 秩父広域市町村圏組合水道局は、令和3年4月に圏域内の水道料金を現在の基準料金体系である秩父市の料金体系に統一する。秩父広域市町村圏組合水道事業経営審議会(会長=宇野二朗・横浜市立大学教授)からの答申では、平均料金改定率17・91%が示されたものの、地域によっては大幅な改定率となる見込みであることから、住民生活や企業活動に及ぼす影響を最小限に抑えるとともに、料金統一を確実に実施するため、組合構成市町の首長からなる理事会で現在の基準料金体系で統一する方針を決定し、組合議会の11月定例会で可決された。12月18日には第9回経営審議会を秩父市内で開催、料金統一の概要などを委員に報告した。

流域下水道経営ビジョン素案を作成/老朽化対策、災害対策の推進へ/神奈川県

 神奈川県県土整備局河川下水道部下水道課は、今後10年間の主要施策や収支の見通しを示した「神奈川県流域下水道事業経営ビジョン」の素案を作成した。1月19日まで県民からの意見を募集している。素案は県のホームページなどで公開している。

 同県の流域下水道事業は、経営基盤の強化や財政マネジメントの向上を目的に、今年度から公営企業会計に移行した。「神奈川県流域下水道中期ビジョン」(平成23年度~令和2年度)の改定にあたり、新たに策定する経営ビジョンでは、経営の視点を強化し、公営企業会計と両輪で持続可能な事業に取り組む方針を示した。

ドローンで下水管内のガス測定/管内作業の安全対策に/ブルーイノベーション、東京設計事務所

 ドローンを活用したインフラの点検・調査事業などを手がけるブルーイノベーションと東京設計事務所は10日、ドローンで下水管内のガス濃度を測定する実証実験を行い、酸素濃度と温度の検知に成功した。

 実証実験では、柏市の雨天時下水貯留施設である篠籠田貯留場内において、ボックスカルバートタイプの雨水管きょに、理研計器(株)の小型ガス検知器を搭載した球体ドローン「ELIOS2」を飛行させ、約100mの地点まで進入して管きょ内の酸素濃度や硫化水素濃度、温度などを測定。通常より0・3%の酸素濃度の低下を確認した。硫化水素については、冬季で低温のため、発生は確認できなかった。ブルーイノベーションによると、作業員が入孔することなく管きょ内でガス濃度を測定できたのは業界で初めてだという。