ICT・AIで下水道の課題解決へ/令和3年度B―DASHプロジェクト/国交省

 国土交通省が進める下水道革新的技術実証事業(B―DASHプロジェクト)への期待は大きい。下水道事業が抱える様々な課題に対して新技術の開発・導入は有効な手段。B―DASHでは、実規模レベルの施設を設置して技術的な検証を行いガイドライン化して、開発した技術の全国展開を図っている。来年度、同省では▽ICTを活用した下水道施設広域管理システムの開発▽AIを活用した水処理運転操作の最適化支援技術▽分流式下水道の雨天時浸入水量予測技術および雨天時運転支援技術―を進める方針で、予算概算要求に盛り込んでいる。

広域連携推進協議会を設立/持続可能な水道事業経営へ/統一基準で施設台帳整備を/長野県環境部・企画振興部・企業局

広域連携推進協議会を設立/持続可能な水道事業経営へ/統一基準で施設台帳整備を/長野県環境部・企画振興部・企業局

 長野県環境部・企画振興部・企業局は12日、「長野県水道事業広域連携推進協議会」を設立した。本格的な人口減少社会を迎え、水需要の減少に伴う経営環境の悪化への懸念、施設の老朽化や事業の担い手不足など、県内の水道事業者共通の課題を踏まえ、持続可能な水道事業経営の体制づくりに向け、広域化・広域連携の推進や将来の水道のあり方などについて検討を行う。参加団体は、構成員が長野県と52市町村・1企業団、オブザーバーが24市町村・2企業団などで、事務局は県企業局が務める。今後は、全県的な課題として水道施設台帳の整備と情報の共有、人材の確保・育成について実務者によるワーキンググループで検討し、協議会で情報共有を図ることとしている。

 同日には県庁で設立総会を開催、市町村などはテレビ会議を活用して各地域振興局から参加した。猿田吉秀・長野県環境部長は「広域連携の推進にあたっては、事業者が協力して課題解決にあたることが欠かせない。本協議会での議論が、事業者自らの基盤強化はもとより、広域化推進プランの策定に良い形で反映され、本県の水道の体制づくりが促進されていくことを期待している」とあいさつした。

アイスピグで工水の配水管を洗浄/初施工に職員も注目/横浜市水道局

 横浜市水道局は9月29日、工業用水の配水管路内に堆積した夾雑物を「アイスピグ管内洗浄工法」で洗浄した。今年度に同工法を試行的に採用し、同局では初めての施工となる。現場には局職員約35人が立ち合い、アイスシャーベットの注入から回収までの工程を視察した。

 洗浄した管路は、市の西区内に35年前に布設されたφ300のダクタイル鋳鉄管。経年により、管内に土砂などの夾雑物が堆積しており、放置しておくと管路の閉塞等が生じる恐れがあるため、夾雑物を除去し、流量の回復を図る必要があった。

 アイスピグ管内洗浄工法は、イギリスで発明された圧力管路を洗浄する特許工法で、水と塩を原料とするSIS(特殊アイスシャーベット)を管内に注入して「アイスピグ」を形成し、管内に付着した汚れを擦り取り、砂石などの夾雑物をシャーベット内に包み込んで管内に排出する。

 施工を担当したのは、アイスピグ関東地域協会会員の関東ヒノデサービス販売。洗浄中の断水の影響を最小限に抑えるため、当該管路のうち、ユーザーの分岐管がない区間約190mを洗浄の対象とし、含氷率75%のSIS6・6tを使用した。

浜松市で生曲げ配管部を掘上調査/経年管の長期耐久性能検証へ/ポリテック

浜松市で生曲げ配管部を掘上調査/経年管の長期耐久性能検証へ/ポリテック

 配水用ポリエチレンパイプシステム協会(ポリテック)はこのほど、浜松市上下水道部と共同で、市内に18年前に布設された配水用ポリエチレン(HPPE)管の掘上調査を実施した。過去に布設した管路の経年変化に関するデータ収集の一環で、HPPE管・継手の大きな特性である柔軟性を活かして生曲げ配管された管路の一部を採取し、各種性能試験により、長期耐久性能を明らかにすることが目的。

 採取箇所は、市北部にある滝沢・鷲沢地区の中山間部を通る、約120度に屈折した下りカーブの車道。当該管路は平成14年に布設されたφ100のHPPE管で、車道の傾斜に沿って埋設されていた。

海外初、中国で繊維ろ過を受注/合流式越流水対策で最大規模/日立造船

海外初、中国で繊維ろ過を受注/合流式越流水対策で最大規模/日立造船

 日立造船は9月28日、中国で合流式下水道越流水用の大型繊維ろ過処理システムを受注したと発表した。中国電器科学研究院有限公司から中国長沙市下水処理場向けとして受注したもので、同システムが海外で採用されるのは今回が初めて。処理能力は、50万立方m/日で中国において最大規模となる。納期は2021年10月となっている。

運転管理技術の向上へ特別講習会/ウェブ受講を導入、累計受講者1万人へ/管理協

 日本下水道施設管理業協会が例年開催している技術特別講習会。今年から広島会場を設け、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の7会場で開催を予定しているが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、講習会場での参加者を従来定員の2分の1に抑えるとともに、講習時間も若干短縮せざるを得ない状況となった。同協会では新型ウイルス感染症マニュアルを策定し、感染症対策に万全を期して講習会を準備した。新たな試みとして、東京会場での様子をインターネット配信することで、ウェブ受講を可能とした。ウェブ受講者には10月16日から11月6日までのアーカイブ配信も行っている。