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2009年(平成21年) 1月 1日(第4457号)
水に感謝し水を守る/平成21年新年号
水に感謝し水を守る/平成21年新年号
私たちは毎朝、起きるとすぐに顔を洗うことを習慣としている。人はなぜ毎日顔を洗うのか?。朝の洗顔で水に触れ、感謝の心をもって口にふくみ、ごくりと飲む。洗顔は、1日のスタートにあたり水と対面する大切な儀式でもある。
『水は偉大だ』の著書の中で教育評論家の百瀬昭次氏は、水は感謝の心を磨く「砥石」の役目を果たしているという。
水への感謝の気持ちが、人の心を育み、人と人の心をつなぐ。
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地球は表面の3分の2が水に覆われている。宇宙空間に浮かぶ地球の写真は青く輝き、地球が水の惑星であることを実感させてくれる。
水は、太陽をエネルギーとして大気、陸地、海を循環する物質だ。動植物の生命を育みながら水蒸気となって空に還り、やがて雨や雪になって再び地球上に降り注ぐ。私たちのまわりにある水は、20億年前から循環しているものだ。
しかし、淡水として存在し、私たちの使える水はごくわずかだ。その水を67億の人間と、地球上のすべての生物が分かちあっている。
人・すべての生命のために、この水を守らなければならない。
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水守りといえば河童。カッパの語源は河童(かわわらわ)。カワワッパがなまった。江戸時代の前まではミズチと呼ばれ、「水神」の意味を持った言葉だったという。もとをたどれば中国の河の神「河伯」に行き着く。
各地に伝わる河童伝説の背景には、水への感謝と畏敬がある。
河童は日本で最もよく知られている妖怪だが、実在を信じている人々は、河童連邦共和国を立国し、毎年サミットを開き、水辺の保全などにも取り組む。共和国のテーマは「水は命、河童は心」。
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新年号表紙のイラストは『遠野物語』(柳田国男)の舞台となった遠野市の「カッパ淵」。環境問題という言葉が、ずっと向こう側にあった頃の懐かしい風景が今もひろがる。
各地に伝わる河童伝説の中には、今年の十二支である牛と力くらべをしたという話もある。牛は鈍重のようだが力強く、もくもくと歩く。
カッパ淵で釣り糸を垂れる河童も、朝のスタートにあたり、清々しく水で顔を洗ってきたにちがいない。
「水守り」としての河童にも思いをはせ、水への感謝を心に、水と環境の未来へ向け、着実に歩み続ける一年としたい。